環状ニトロナートを用いた複素環化合物合成法の開発
複素環化合物合成反応の活性化及び不斉触媒反応の開発研究
窒素や酸素原子を環骨格に含む複素環化合物は多くの生物活性物質構造に含まれるだけでなく,合成中間体としても重要な化合物群です。
特に,1,3-双極性環状付加反応で得られる複素五員環化合物を研究対象とし,1,3-双極性環状付加反応における未解決な課題の解決を目的として,新規な1,3-双極子の開発研究・ルイス酸や有機分子触媒を用いた反応活性化方法の
開発・各種(立体・レジオ・官能基等の)選択的反応の開発に取り組んでいます。
複素環化合物合成を鍵とした生物活性物質合成への研究展開
官能基化ニトリルオキシド合成等価体として当研究グループで開発したα-ヒドロキシニトロナート1,3-双極子とアルケンとの環状付加反応で得られる複素環化合物オキサゾリジン体は,
ニトリルオキシド合成等価体として2-イソオキサゾリン体に誘導可能なだけでなく,その環構造自体が高度に官能基化された合成中間体として利用が可能です。
近年,これを鍵中間体としてHIVプロテアーゼ阻害剤であるロピナビルのコア構造や海洋天然物ジシベタインの形式合成にも成功しており,
更なる効率化及び全合成について継続課題となっています。