研究概要

A-1グループでは医薬品,農薬,電子材料や光機能性材料といった私たちの生活に役立つ有機化合物の合成と,その基となる新しい化学反応の開発及びそれらの基礎化学研究に取り組んでいます。

累積二重結合分子の構造と反応性の解明

    アレンやクムレンといった多重結合分子は剛直な直鎖型構造という特徴的な構造を有しており,その性質や反応性に興味が持たれています。当研究グループではこのような累積二重結合分子の物性の解明及び反応開発を行っています。 また,特異的な反応を利用した高付加価値化合物群への創製に取り組んでいます。

光機能性有機分子の開発

    発光性分子は有機ELや色素増感型太陽電池など工業分野への応用だけでなく,生体分子や細胞の蛍光イメージングといった生命科学分野への応用も可能であり,その基礎及び応用研究は重要です。当研究グループでは新しい芳香族化合物の合成法及び物性解明を通じ,新しい光機能性有機分子の開発を行っています。
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サッカーボール分子フラーレンの機能化

    フラーレンと呼ばれる炭素原子のみで構成されたサッカーボール型の分子があります。近年ではこのフラーレン分子に化学修飾を施すことにより機能化し,ナノ材料や有機合成における反応試薬としての応用研究がなされています。 当研究グループでも外周化学修飾により,フラーレンの機能化に取り組んでいます。

環状ニトロナートを用いた複素環化合物合成法の開発

    ニトリルオキシドは立体選択的アルドール反応の補完法となりうる様に,有機合成の観点から有用性の高い1,3-双極子ですが,二量化するなどの問題点がありました。当研究グループでは,ニトリルオキシド代替1,3-双極子としてC-ジ置換α-ヒドロキシニトロナートを開発し,この問題を解決しました。現在は,高付加価値な複素環化合物群の創出を目的として,このニトロナートを用いた反応の活性化方法や立体・レジオ選択的反応の開発に取り組んでいます。
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含窒素配位子の合成と触媒システムへの展開

    現代の有機合成と工業プロセスにおいて触媒システムの利用は不可欠であり,新しい触媒や配位子,またそれを用いた触媒システムの開発は有機合成化学における主要なテーマの1つです。当研究室では含窒素配位子をデザインし,遷移金属触媒を用いたクロスカップリング反応やフォトレドックスシステムにおける利用に取り組んでいます。