光機能性有機分子の開発
発光性分子は有機ELや色素増感型太陽電池など工業分野への応用だけでなく,生体分子や細胞の蛍光イメージングといった生命科学分野への応用も可能であり,その基礎及び応用研究は重要です。当研究グループでは新しい芳香族化合物の合成法及び物性解明を通じ,新しい光機能性有機分子の開発を行っています。
蛍光発光性有機分子の創製
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蛍光発光性を示す分子はディスプレイやCDなどの記録媒体といった様々な産業応用が可能なため,その開発・応用研究は光化学分野における主要なテーマの1つとなっています。
近年では,構造チューニングの容易さや,フレキシブルデバイスへの応用が可能であることから有機分子材料が注目されています。我々のグループでは,新しい分子骨格に基づく機能性有機分子の創製及び機能化に取り組んでいます。

センシング分子の創製
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pH変化や金属イオンなど周囲環境に応じて蛍光発光の色調や強度が変化する分子は環境化学や生命科学分野など多様な分野での応用が期待されています。我々のグループでも新たなセンシング分子の創製を目的として,
これまでに酸(下図 左)や金属イオン(下図 左)に応答するセンシング分子などを開発し,報告しています。
徳島大学研究クラスター: 有機合成化学を起点とするセンシング技術の開発と応用に参画しています。

生体利用を目的とした蛍光発光性分子の創製
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生きた細胞を可視化する蛍光バイオイメージング技術は病気診断や生体分子の機能解明,創薬など,生命科学研究分野において不可欠な技術となっています。
我々のグループでは高い水溶性と優れた発光特性を持つ有機分子の開発に取り組んでいます。最近では,大きなストークスシフト(励起波長と発光波長の差)を示す有機分子を合成し,単一波長励起によるHeLa細胞の多重染色を報告しました(下図)。

光線力学療法を狙いとした有機分子の創製
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光照射により薬理活性を発現する分子は,その効能を時間的・空間的に制御することが可能なため,優れた医療技術への展開が可能です。特に,光線力学療法(Photodynamic Therapy)は非侵襲的ながん治療技術として知られています。
我々のグループでは光照射をトリガーとし,DNA切断活性を発現する新しい有機分子の合成を行っています。また,本研究は様々なグループと共同で推進しており,近赤外光の利用やドラッグデリバリーシステムへの組込みなど,実践的な研究に取り組んでいます。
徳島大学研究クラスター: がん治療を志向する光機能性分子の開発
