研究内容

B-2講座では以下の3つのテーマに関して研究を行っています。


高圧力下における物性研究(担当教員:岡村、野口)

数万気圧から数10万気圧という高圧力の元での物性(物質の性質)を調べています。このような高圧下では、物質を構成する原子や分子の間隔が著しく減少するため、物質は常圧下とは異なる様々な面白い挙動を示します。高圧の発生にはダイヤモンド・アンビル・セル(DAC)という装置を用い、DACで高圧印加した試料の性質は、主に赤外線、つまり波長が1-100 μm程度の光を使った分光実験によって調べます。実験には研究室の装置と並んで、大型放射光施設SPring-8など、学外の研究施設も活用しています。研究の対象としている物質は、高圧下で金属転移などを示す半導体物質や熱電候補物質、「燃える氷」として知られるメタンハイドレートやその関連物質などです。

 

結晶成長の研究(担当教員:鈴木)

結晶成長とは、無秩序に運動している環境相中の分子が突如として規則的な構造を形成する、ドラマティックな相転移現象の一つです。できた結晶を使うことで、その中の分子の立体構造をきわめて精密に解析できたり(DNA、タンパク質の分子構造)、これまでになかった特性を持つ新材料を作りだす(発光ダイオード、半導体基板)ことも可能です。そのため、いくつかの歴史上大変重要なノーベル賞は、結晶成長の成功なしには語れないものが多いです。しかし、そのようなときには結晶成長自体が大変難しいことが多いですが、それは、実はまだ結晶成長には解き明かされていない謎が多く存在することによります。その謎に、「その場観察」の手法で切り込んでいるのが我々のグループです。是非皆さんの力を貸してください。そして、一緒に新しい世界を切り開いていきましょう!

 

NMRや分子シミュレーションによる溶液化学の研究(担当教員:吉田)

溶液化学グループでは、主に高温高圧の水および水溶液の構造・ダイナミクス・反応を対象に、NMR分光法と分子シミュレーションを組み合わせながら、物理化学の視点からの研究を行っています。具体的には、動的NMR法による水や水溶液中の並進・回転といった分子運動の観測や、実験のみからは知り得ない詳細な情報を得るために、実験的に得られた情報と突き合わせながら分子動力学計算を用いることで、溶媒和と並進・回転・振動などのダイナミクスがどのような関係性にあるのかの解析を行っています。さらには、高温高圧条件の水・水溶液の応用展開として、環境調和型反応のNMR解析を行い、無触媒条件下での糖類の高付加価値有用物質への転換法の開発などに取り組んでいます。