国際宇宙ステーション(International Space Station, ISS)で我々が行った、宇宙航空研究開発機構(Japan Aerospace Exploration Agency, JAXA)きぼう利用実験 Advanced Nano Step ミッションについて紹介します。
上図は、宇宙実験でどんなことをやっているかの概念図です。種子島宇宙センター(左下図)や、米国のケネディ宇宙センターから、実験に使う結晶(左上図)を打ち上げ、ISS(真ん中の中図)に運び込みます。そこで、光の干渉縞(上図上部真ん中の写真)を用いて結晶の成長速度を測定します。軌道上での測定が終わった後、スペースX社のドラゴン輸送機(右中図)で、宇宙で成長した結晶(右上図)を持ち帰り、日本に輸送した後、高エネルギー加速器研究機構のフォトンファクトリー(右下図)やSPring-8といった大型放射光施設で結晶品質評価を行います。
鈴木グループは、JAXAのISSきぼう利用プロジェクト、Advanced Nano Stepミッションを2015年から10年弱継続して実施してきました。この実験では、グルコースイソメラーゼというタンパク質結晶の「らせん成長丘」と呼ばれる分子の段差の形状の時間変化を、光の干渉縞(上図上部真ん中の写真)を用いて測定しました。これにより、従来の「宇宙では対流がなくてゆっくり成長するからきれいな結晶ができる」という定説を覆す、「99.9%という極限の純度まで精製したタンパク質結晶の成長速度は地上と宇宙で変わらない」という事を世界で初めて明らかにしました。これはNASAでも実現できていない我々の成果です。
きっかけから始まる、より詳細な説明は以下に続きます。
また、JAXAのサイトや、大学の広報などでの紹介については以下から見られます。
応用化学システムコース物質機能化学講座集合体化学研究室の詳細については、結晶成長グループおよび溶液化学グループの各サイトをご覧ください。